登録事象コード: 173
オブジェクトクラス: Gamma-Yellow
ハザードタイプ: 確率操作ハザード,変形ハザード,精神操作ハザード,感覚ハザード,瞬間移動ハザード,非物理的ハザード
収容プロトコル: サイト-002には高さ9メートルのコンクリート壁に囲まれた、幅25メートル、長さ7キロメートルのレース用走行路2本が整備されます。壁内には駐車区画、及び自動車の搬入ならびに隣の走行路への誘導に用いる補強ゲートを設けなければなりません。使用中の走行路に整備が必要となった場合、全車両は上述のゲートを用いて迂回させられます。この誘導は、前述のゲートを用いて使用中の走行路を封鎖し、全車両が通過するまでの間もう一方の走行路へと続く通路を開放することによってなされます。RPC-173が活性状態にある間に未使用の走行路が損壊していた場合、即座に修復されなければなりません。
RPC-173は非活性状態になる毎に、標準の倉庫内に約166時間保管し、再活性化に先立ってどちらかの走行路に戻さなければなりません。再設置の際、RPC-173は当該走行路に配置された13台の改造車両の傍に置かれなければならず、そのうち先導する車両内にRPC-173を設置します。実験及び収容のため、各車両にはCSD職員が割り当てられます。このため、各車両には遠隔式エンジン点火装置及び緊急制御システムが必要です。これらの遠隔機能は実験管理員が所持する携帯情報端末により起動されます。RPC-173の活性化時には、しばしば楽音により知覚されるため、その際管理員は直ちに全車両を起動させるとともに、CSD職員に合図し運転させます。活性化中、RPC-173-IDに指定された個体群が強制的に停車・退避させられます。RPC-173の非活性化後、全車両が各走行路から回収されます。
説明: RPC-173は1対のフリース地の緑色の賽子に類似した、自動車の後写鏡用アクセサリーです。活性化時に乗用車外にある場合、RPC-173は時間の経過とともに指数関数的に拡大する領域を構築します。最初に車両に乗った状態で効果範囲内に侵入した人物は、RPC-173を所持しているという事実に即座に気づきます。RPC-173を発見すると、当該人物は多くの場合後写鏡にRPC-173を吊るし、遁走します。これを以て当該人物はRPC-173-ID1となります。RPC-173-ID実体は運転中、自身の車両と関係のない事物を無視し始めます。RPC-173-ID実体が運転する車両の同乗者はほぼ無反応となり、硬直したまま前方を凝視し、時折実体を鼓舞します。
運転中の車両内に存在する際、RPC-173はRPC-173-ID実体及びその車両が示すさらなる異常特性を引き起こします。RPC-173-ID実体は高速で車を走行させることに執着するようになるとともに、自動車の運転スキルが顕著に向上します。RPC-173-ID実体は、通常ならば減速が不可避な状況下においても、極めて危険あるいは不可能とみなされるスタント運転を成し遂げる妙技を披露することが可能です。RPC-173の被影響車両は音楽2を再生し、加速もしくは機動性を阻害する構成部品を組み替える目的で異常な機械的変形を行います。この部品変形は、外的要因により車の構成部品が破損した、もしくは不能となった際に発生するものとみられます。
RPC-173の被影響車両の後方半径30メートル以内のあらゆる運転手は同様の異常効果を被ります。この範囲内の運転手たちは毎秒13.954%の確率で影響を受け、最大で12名がそれぞれRPC-173-D-1から12に指定されます。影響下に入ると、RPC-173-D実体は暫定のRPC-173-ID実体を追い越そうと試みます。RPC-173-ID実体はこれに対して好戦的な運転を行ない危険なルートを取ることで応じます。RPC-173-ID実体を追い越した被影響個体は、例外なくRPC-173を自身の車内に所有していることに気付くとともに、RPC-173-IDの呼称を奪います。RPC-173を失った人物は困惑とともに停車し、放心状態となります。
RPC-173の被影響車両を通常の手段で停止させることは現時点では不可能です。被影響車両の行く手を封鎖する試みは、即座に回避される、または障害物を躱すことのできるルートに変更されるという結果に終わっています。破壊ないし機能停止の目的で激しい攻撃を被ったとしても、被影響車両は最低限のダメージしか負わないばかりか、即座に自力で再配向します。被影響車両を強制的に停止させる、または運転手を終了する試みは、偶発的な事象6により回避されるようであり、RPC-173が確率論に影響を及ぼす能力を有することが示唆されています。RPC-173の被影響車両を停止させる唯一の方法は、RPC-173を車両間で12回転移させることです。これが果たされれば、RPC-173は1週間異常活動を中断し、被影響実体も通常に戻ります。
発見: RPC-173の異常性質は、1995年12月17日に襲撃を受けたサイトに急派された特殊機動部隊の一分隊員が、戦闘中に機構所有の車両を用いて離脱したことで発見されました。当該隊員は通信システムによる指令を無視したため、無断離隊者もしくは反逆者と推定されました。14台の分隊車両が当該隊員を拿捕するべく派遣されましたが、RPC-173により、内12台が応答不能となりました。8時間後にRPC-173が非活性化して初めて、機構職員は車載カメラの記録からRPC-173をアノマリーだと確認することが可能となりました。RPC-173はカメラ映像内での消失と出現を12回繰り返し、13回目の出現時に全車両が停止したことが視認されました。RPC-173の最終転移の際、特殊機動部隊員イリア・ディントは湾曲した山道で先頭車両を追い越すために「スカンジナビアン・フリック7」を実行しました。その後、彼女は意図せず休止状態のRPC-173を獲得しました。
補遺01: RPC-173の被影響車両が通過する際の音源サンプルが下に添付されています。