初期の探査実施手順: CSD職員を被験者として選出し2名の武装した警備員に護送させRPC-110の前に配置します。警備員には2名の研究者が同行します。1人はオブザーバーとして内部探査の観察・記録をし,もう1名は監督として被験者と連絡を取り,探査中いつでも指示を出したりその他の口頭での会話を行う役割を担います。被験者にはヘッドマウントカメラを装着し顔と前方の映像を記録します。また,マイクを装着し周囲の音声や被験者の発言を記録します。今回の内部探査ではサイト074-Bを監督施設として使用します。
被験者にはRPC-110の端に到達しRPC-110-1を開くという任務が課せられます。オブザーバーは探査中の注意すべき点を記録し,監督は被験者に指示を与えます。被験者を護送した2名の警備員は隣接する廊下で,RPC-110の方を向き待機します。警備員はオブザーバーと監督の護衛,探査終了時の被験者の誘導を担当します。
この手順の変更は可能ですが,探査を行う際に提出する探査計画書に変更内容を記載しなければなりません。変更を加えることができるのはサイト管理官が承認した場合のみです。
被験者: CSD-10542,32歳の男性で不安の程度は平均的。
探査計画: 探査実施手順に準拠
探査記録:
<記録開始>
[被験者はRPC-110に隣接する廊下に護送され正面に配置される。被験者は即座に下に向きRPC-110-1から視線をそらした。監督とオブザーバーは機材をチェックし互いに許可を出した。]
監督: CSD-10542,この探査の目的を述べてください。
被験者: この廊下を突き当りまで行ってドアを開けることだろ?
監督: その通りです。RPC-110-1を見てください。
[被験者は顔を上げ4秒間RPC-110-1を見つめた後,下を向いた。]
監督: RPC-110-1を見ることをおすすめします。
被験者: わかってる,わかってるよ。でも本当に見たくないんだ,わかるか!?言う通りにするからさ…頼むよ…
[オブザーバーはこの言動を記録する。監督が反応し後ろを向く。被験者は自分の手を弄っているようだ。]
監督: 他に何もなければ始めてください。
[被験者は5秒間静止した後,RPC-110を歩き始める。被験者はRPC-110-1を見ない選択を一貫して行っていることに注意すべきである。被験者は約4.6m進み,歩きながら呟き始める。]
被験者: [判別不可]██████とか聞いてないぞ…やんなかったよ…[判別不可]
監督: 精神的・肉体的にどのような状態か報告してください。
被験者: 俺は腹の底から湧き上がるような感覚に襲われたんだ。聞いてくれ,本当にやりたくないんだよ。体調も悪いし,この██████は俺が思ってたもんじゃねぇ。寒いし,それに…
[オブザーバーはこの発言を記録する。被験者は歩き続けているうちに汗をかいているように見える。約7.3m進んだ時点で停止し,拳を握り締め足元を見る。手は軽く震えているように見える。]
監督: 停止した理由を説明してください。
被験者: 博士…もうやりたくねぇよ!頼むから帰らせてくれ!他の仕事は何でもやるから,終わりでいいだろ!
[被験者が深呼吸をしていることが確認される。監督は被験者の不安を和らげようとする。]
監督: 大丈夫です。落ち着いてください。あなたが危険に曝されることはありません。この探査は非常に重要で,あなたが解放されるかもこの探査の結果次第です。ドアを開けれたら,おいしい食事と休息を用意しますから,協力してください。
[被験者は6秒間静止した後,ゆっくりと頷き探査を再開した。呼吸と手の震えは緩やかに穏やかになっている。]
[被験者は約12.8m進んだ時点で停止し,腕を組み静かに泣き始める。]
監督: なぜ止まったんですか?
被験者: 何かに見られてる…ここは危険だ…死んじまうよ…
[被験者は歯を食いしばり目を閉じる。監督はもう一度,被験者の不安を和らげようとする。]
監督: 大丈夫,絶対に安全です。ここの最も優秀な警備員2名があなたを見守っています。あなたを監視しているのも私達だけです。危険を察知したらすぐに戻るように伝えます。かすり傷も負わず脱出できます。
[被験者は不安を和らげるため呼吸を整え始めたように見える。自分を鼓舞し非常にゆっくりなペースで呼吸を続ける。]
監督: 非常にゆっくりなペースですが,もう少し早めていただけませんか?
[被験者は応答せず,歩きながら泣き出す。被験者は約15.5m進んだ地点ですぐに立ち止まった。大声で泣き始め,抑えきれない嗚咽を漏らし始める。]
監督: 頑張ってください!あなたは安全です!あなたの協力が必要なんです!
[被験者がヒステリーを起こし声が大きくなり,監督は発言を中断。被験者は手で顔を覆い視線を落とす。監督はもう一度被験者を説得しようとする。被験者が突然驚いたようにRPC-110-1を見上げる。]
[被験者は目を見開き怯えた表情を浮かべる。被験者は恐怖のあまり悲鳴を上げ走って逃げだす。監督はヘッドセットを外してしまった。廊下へ逃げようとする被験者を待機していた警備員が拘束した。被験者はほとんど抵抗することなく連行された。]
<記録終了>
覚書: 警備員も研究員も探査中に同様に不安感が増してきていた旨を報告した。尋問を受けたCSD-10542は「二度とあの██████な場所には近づきたくない…」と回答している。被験者は精神治療のため入院し軽度のショック症状と診断された。今後の職務のため軽い記憶処理薬を投与された。
被験者: CSD-10552,32歳男性で不安の程度が高い臆病な性格。
探査計画: 探査実施手順通り。被験者が協力しない場合,警備員が強制的に誘導することが許可されており,探査実施手順に追加された。
探査記録:
<記録開始>
[被験者は隣接する廊下に連行される。この時点で呼吸は激しくなっている。RPC-110の前に配置された被験者はRPC-110-1を観察する。]
被験者: やめろ!そんなものに近寄らせるな!ここから出してくれ!
[被験者は警備員の脇をすり抜けて逃げようと試みる。警備員がすぐに拘束し,RPC-110に強制的に連行した。被験者は苦悶で叫び声を上げる。被験者は警備員の傍に留まり続け,警備員は出口を封鎖する。]
監督: あなたは自分の仕事を理解しているでしょう。ですが,あなたの言っていた「そんなもの」とは何なのでしょう?
[被験者はRPC-110-1を見つめた後,地面を見下ろし激しい呼吸を続ける。]
被験者: 何かが見えた…何かがそこにいる…
監督: どんなものですか?
知らねぇ,知らねぇよ,わかるか?!ドアの向こうにいる!俺を待ってる!もしそこに行けば,そいつが出てきて…それで…
[被験者は静かに泣き始め軽い抗議の声を上げる。監督はオブザーバーをちらりと見て,オブザーバーが被験者の行動を記録すると,監督は頷く。]
監督: 危険が何もないことを保証します。あなたの前に探査した人は全員無事に帰れています。あなたは絶対に大丈夫です。私たちはあなたがドアを開けることが必要です。何も出てきませんし,何もあなたを襲ったりしません。実際,最後にドアを開けた人には何も起こりませんでした。お願いです,あなたの仕事は重要です。さあ,進んでください!
[RPC-110-1を実際に開けたことはない。上記の発言は被験者の不安を和ませるためのものである。]
[被験者は監督に反応して軽く呻いたことから泣き止んだものと思われる。その後,被験者はRPC-110を非常にゆっくり進み始める。約4m進んだ地点で停止し,汗をかき震えながら嗚咽を漏らし始める。]
監督: 私達には時間がありません。
被験者: 無理だ…無理だ!無理だ!出来ない!出来ない!出来ないんだ!無理だ![冗長なため省略]
[被験者はそれ以上進まない。監督は被験者を説得するが上手く行かない。5分間の説得の末,監督とオブザーバーはともに続行は不可能と判断し探査を中止する。被験者は呼び戻されその場から連行された。]
<記録終了>
覚書: この探査に立ち会った職員は最初の探査で報告されたような不安はほとんど感じなかった。これはCSD-10552の行動が精彩を欠いていたためか,RPC-110に滞在した時間が少なかったためか,未だ判明していない。尋問を受けたCSD-10552は探査を続けたくても続けられない「身体的な限界」を感じたことを回答した。被験者は精神治療のため入院し軽度のショック症状と診断された。今後の職務のため軽い記憶処理薬を投与された。
被験者: CSD-10694,19歳女性で軽度の不安障害と見られる。自称ホラー愛好家で,10代の頃は廃墟探索が好きだったとの報告がある。自信過剰な性格。
探査計画: 探査実施手順に加え,本探査では被験者の前進を促すため言葉による圧力をかける。
探査記録:
<記録開始>
[被験者はRPC-110に隣接する廊下に連行される。被験者はRPC-110の前に配置されRPC-110-1を見る。被験者は目を見開いて振り返るが,緊張のためかにやにやした笑いが目立つ。]
監督: CSD-10694,探査の目的はわかっているな?RPC-110に入り,廊下の突き当りのドアを開ることだ。準備ができ次第進め。
[被験者は何も答えずに頷き,RPC-110を進み始める。被験者はもう一度RPC-110-1の方を見た後,不意に地面に視線を下ろしながら歩きだす。]
監督: CSD-10694,なぜRPC-110-1を見ようとしない?
被験者: わからないけど…ただ,見ててあんまり面白くないからじゃない?
[被験者の回答は確信に満ちたものではなく,やや前向きな表情を保っていたことに留意すべき。被験者は約3.7mの地点まで前進する。被験者は再度RPC-110-1を見上げ,突然前向きな表情を崩し真剣な表情になる。1秒ほど沈黙した後,監督の反応を待たずそのまま歩き続ける。]
[約7.9m進んだ地点で汗をかき始め,目を見開き,恐怖の表情を見せ始める。]
監督: 怯えてるように見えるが,何があった?
[被験者は出口の方を振り返り,緊張した面持ちで微笑みながら歩いている。]
被験者: いや,博士!ここ少し…私が思ってるより不気味だった…
[被験者は歩みを再開するが,ややペースを落とすと呼吸が荒くなり始める。約11mの地点で被験者は停止する。]
被験者: さてと…もう戻っても良い頃合いじゃない?思ってたよりずっと不気味だし,これ以上続けられない。
[技術的な障害により監督はこの発言を受信することができなかった。機材の不具合によるものか異常性によるものであるかは現在調査中。]
[被験者は苦笑いを浮かべ,後ろを振り返り,ゆっくりとしたペースで前進する。約14.6mの地点でRPC-110-1を見上げる。足元に視線を落としゆっくりと進む。]
被験者: 何か聞こえる…お願い,私…
[監督が機材の不調に気が付き,被験者の発言は遮られる。不明瞭だが,監督は返答する。]
監督: あー,テストテスト。CSD-10694,応答せよ。
[この時点で通信は再確立された。]
被験者: 帰らせてください!ここにはもういられない,もう無理です!
監督: 申し訳ない。通信にちょっとした問題があった。今現在,君には何の問題もない。探査を続行せよ。まだ半分だぞ!
[オブザーバーの報告によると,この時,2名は警備員2名とともに,中程度の不安感を覚え始めていた。]
[約15.5m丁度の地点で被験者が停止し泣き出す。]
監督: CSD-10694,続けなさい!ここでは何も君を襲ったりはしない!一歩を踏み出すんだ!そしたらきっと…
被験者: いや,いやよ!滅茶苦茶じゃない!?
[オブザーバーは監督の不安の程度が増していることを指摘する。監督はオブザーバーと解決策について協議し,合意に至る。]
監督: CSD-10694,鼻歌や歌を歌ってもいい。ちゃんと歩けるなら目を瞑っても構わない。すぐに君を呼び戻す。もう少し頑張ってくれ。
[被験者は下を向き目を閉じ深呼吸する。地面に視線を落としながら,宗教的な讃美歌のような不明な曲を口ずさみ始め,ゆっくりとした足取りで前進する。]
[約17mの地点で突然顔を上げ鼻歌をやめる。被験者は目を見開き恐怖から悲鳴を上げる。これにより警備員の一人が目をそらす。被験者は出口に向かい走り出す。]
監督: 止まりなさい!引き返しなさい!
[被験者は応答せず。その後警備員に拘束された。研究員らがすぐに退出したため被験者もすぐに外へ連行された。]
<記録終了>
覚書: 実験に参加した職員はRPC-110の周囲にいると徐々に不安感が増大することを報告した。被験者は脱走した理由を問われ「よくわからないけど…何かが聞こえた気がして…でもあのドアを見て…あぁ,わからない…もうやめて…」回答している。また,鼻歌で歌っていた音楽の選択についても質問され,知らなかった,自然に思い浮かんだと回答している。被験者は医療機関に入院し軽度のPTSDと診断され,軽い記憶処理薬を用いて治療された。
被験者: CSD-10996,26歳男性で軽度の不安障害。冷淡で自信過剰な性格。アンガーマネジメントに障害があると見られる。
探査計画: 探査実施手順通り。3人目の武装した警備員を配置し被験者を威圧する。探査実施手順に追加された。
探査記録:
<記録開始>
[被験者をRPC-110と隣接する廊下に連行すると,被験者はこれから行う探査に対して明らかに意欲的になった。監督は,被験者を鼓舞し,かつ扇動し,精神的な強さを向上させるように話す。]
[被験者はRPC-110の前に配置される。RPC-110-1を睨みつけ,明らかに不機嫌な表情をしている。]
監督: よし,それでいい!俺が合図をしたらこの廊下を突っ走って奥にあるドアを開けるんだ,いいか?
被験者: あいよ!始めようぜ!
[監督は過去に発生したような機材の故障を防ぐため最終確認を行う。]
監督: よし行け!
[被験者はRPC-110を高速で走り始める。約7.6m地点で被験者はRPC-110に影響された兆候を示さない。視線はRPC-110-1ではなく下を向いているが,これは単に身体的活動に対応するための無意識的な行動であると考えられる。]
[約10.7m地点で被験者は再度顔を上げ明らかに目を見開いた。しかし依然として走り続けており監督からの反応はない。]
[約13.4m地点で再び顔を上げ,目を見開き絶望的な表情をする。歩く程度の速度まで低下する。約15.5m地点で歩くようになり,やがて完全に停止する。壁に寄り掛かり,大きく息を吐きながら頭を振る。]
被験者: な,何かがおかしい…
監督: なんだ?もう諦めるのか?まだ半分もいってないんだぞ!立ち向かえよ!████████になるのはやめて,頑張れよ!
[被験者は歯を食いしばり,怒りに満ちた呻き声をあげる。歯を食いしばりながら,さらに約1.5mほど進む。約17mの地点で被験者は突然立ち止まり急に泣き始める。オブザーバーによれば,この時点で監督は最大限の怒りを表現した。]
監督: ふざけるな!何で誰も最後まで行けないんだ?!何度やっても同じじゃないか!歩いて,壁に寄り掛かって,泣き叫ぶだけ。走り切ってドアを開けられる奴は誰一人としていないってのか?!
[これを聞いた被験者は歯軋りしながら叫び,目を閉じゆっくりとした速度で進んだ。約18.6mの地点で被験者は自身の両手に叫びながら倒れる。被験者は抑えきれず嗚咽を漏らし始める。]
[1分ほど泣いた後,監督は警備員に合図を送り,警備員は武器を構える。]
警備員A: 直ちに前進しろ!さもなくばCSDの資格は剥奪され,我々は君を解雇する。
[被験者はゆっくりと立ち上がり,目を閉じながら嗚咽を漏らし続け前進する。約22.6m地点で突然RPC-110-1を見上げ大きく喘ぐ。]
[被験者が約22.9m地点に到達すると,音源不明の音声がサイト074-A全体に送信され始める。]
警備員A: 進め!これは最後の警告だ!
[被験者は反応しない。被験者はゆっくりと地面に座り込み,自分の足を抱え,過呼吸になりながら胎児の姿勢になる。]
[監督は探査の続行は不可能であると判断する。]
監督: 出口まで戻ってください。探査は終わりです。
[被験者は応答せず過呼吸になり始めた。オブザーバーと警備員は被験者が応答できない状態にあると推論する。]
監督: これは最後の忠告です。戻らないと撃ちますよ!
[被験者のライブカメラの映像がフリーズする。音声に交じって息を呑む音が聞こえ,被験者は体を傾け地面に倒れこむ。3分間の通信の後,被験者は意識不明であると判断された。]
[研究員と警備員は動揺しすぐにその場を離れた。]
<記録終了>
覚書: 被験者は遠隔操作ドローンを用いて回収された。死亡が確認され,検視の結果,強いショックと心臓発作が原因と報告されている。過度に増長したヒステリーと恐怖心によるものと思われる。職員は恐怖を感じすぐにRPC-110の周辺から立ち去ったと報告している。監督は不適切な行為を処分され,探査から追って通知があるまで除外された。約22.9m地点で録音された音声の解析では,音声の周波数を人間の可聴域まで上げることが行われた。RPC-110-1を音源とする深みのあるハミングのような重低音が観測された。
被験体: 遠隔操作式地上ドローン。前面のカメラと鉤爪を搭載。
探査計画: ドローン(被験体とする)はサイト76-Bの外部の職員(操縦担当者)が操縦する。操縦担当者はドローンをRPC-110-1に向けて操作し鉤爪で扉を開けることを指示された。3名の武装した警備員とオブザーバーのみが立ち会う。
探査記録:
<記録開始>
[ドローンが搬入され,警備員が待機しているRPC-110の入り口に配置された。システムと操縦の簡単なチェックが行われた後,操縦担当者はドローンを動かし始めた。RPC-110-1へ歩くような速度で前進する。]
[被験体が前進している間,それ自体に特筆すべきことは起こらなかったとオブザーバーは記録している。操縦担当者は軽い不安感を覚えたと報告したが,それ以外には正常な精神状態である。]
[約22.8m地点で被験体は人の可聴域にない深い低周波音を検出した。これは内部探査#011で検出されたものと同じであるとされ,探査が終わるまで調査されなかった。]
[被験体は前進し続ける。約26.2mの地点でライブ映像に軽い乱れが生じた。2秒間が映像が静止し,これは静止画として記録された。]
[RPC-110-1に到達すると搭載された鉤爪をドアノブに向けて操作する。ドアノブに対し扉を開けるのに適切な動作を行った。]
[閂が外れる際の「カチッ」という音が記録される。被験体はシャットダウンし,全ての接続はロストし,システム全体の故障が報告される。]
警備員C: ██████████!████████!
警備員A: [編集済]
オブザーバー: [編集済]
[その瞬間,オブザーバー,警備員A,警備員Cは即座にRPC-110から退避した。警備員Bも退避するが,RPC-110内で視線を地面に向け目を瞑っていたという。]
[操縦担当者も同様に退避を始め,RPC-110の周囲に何もいないにも関わらずパニックのため即座に制御室を立ち去った。]
<記録終了>
覚書: 故障した被験体を回収するため別のドローンが送り込まれた。留意すべきは,RPC-110-1の閂が閉じていたことで,被験体がシャットダウンする前にドアノブから手を離したことを示している。立ち会った職員はドローンが閂を外した時点で[編集済]を経験したと報告している。
被験者: CSD-11524,48歳男性。恐怖心を制御する偏桃体の働きを弱めるため外科的施術と薬の投与が行われた。現在,活動力の低下と刺激への鈍化が見られる。
探査手順: 探査実施手順通り。過去の探査に参加した監督は本探査への参加が許可された。
探査記録:
<記録開始>
[被験者はRPC-110に隣接する廊下に連行される。前に立たされるが医学的処置で期待された通り,明らかに恐怖を感じていない。]
監督: あなたの任務はこの廊下を奥にたどり着くまで進み,ドアを開けることです。いいですね?
被験者: はい,理解しています。
[被験者は速足で前進を開始。RPC-110の影響は受けておらず,目を半開きにしていることから無気力な様子である。]
[被験者は約27.4mの地点に到達するまで減速の兆しを見せなかった。その地点で突然停止し,地面に頭を下げた。]
監督: 頭を下げているようですが,なぜこのようなことをしたのですか?
被験者: これは亡くなった人々に尊敬の念を示すものです。
監督: 説明してください!どういう意味ですか?動かないで説明しなさい!
[被験者は即座に速度を上げ,RPC-110-1を仰ぎ見る。RPC-110-1が完全にノイズに覆われたように見え,音声と映像の送信に異常が生じる。大きな金属音がし,監督は失聴する。]
監督: ああ,まずい!████████!やめて,ダメだ!ドアを開けるな!
[RPC-110-1に手を伸ばす被験者が見える。RPC-110-1のドアノブを握り,回し始める。この際,サイト074-AとBの全職員が[編集済]となる。被験者は次に[削除済]を開く。]
<記録終了>
警告: RPC-110は地域管理官の承認がない限り,これ以上の探査は行わず閉鎖される。RPC-110のオブジェクトクラスはAlphaからBetaに再分類する。 - 統括管理官